知的財産戦略:経営戦略と特許の関係

近年、日本の製造業は、中国,韓国のメーカーの追い上げが厳しく、また急激な円高もあいまって、厳しい状況が続いています。
   最近では、日本の技術立国の象徴とされてきた国産テレビにおいて、この状況が直撃していることが伝えられています。例えば「亀山ブランド」で知られるシャープの亀山工場では、工場の生産能力を2割以下に減らすとのことです。また日立製作所も今年度中にもテレビの国内生産を打ち切る方針を出しています。さらにパナソニックは世界最大のプラズマテレビ用パネル工場の生産中止を決めました。パナソニックでは、円高の影響で、太陽電池部門でも国内増産計画を撤回したと伝えられています。

そんななか、環太平洋連携協定(TPP)協議への参加にあたって国論を二分する議論が起こっています。製造業界からはTTPに参加しないと中韓メーカーとの輸出競争に負けてしまうとの主張が聞こえています。 しかしながら、このペースで国内製造業が衰退していくと、TTPが発効するころには、日本から輸出できる工業製品がもはや生産されていないという事態が生じているかもしれません。
   その一方で、アップル社などは、次々と新しいヒット製品を世に送り出しています。このような状況を見ると、消費者は価格のみを購入動機としているのではなく、真に価値のある新製品については、十分購入意欲を持っていることも明らかになってきました。

このような状況のなかで、特許権をはじめとする知的財産権もそのあり方を見直す時期にきているように思います。 これまで特許事務所の実力は、発明の進歩性がほとんど無いような特許出願案件でさえも見事に特許を勝ち取れる能力にに重きを置かれてきたように思います。
   確かにそような能力はいまでも必要ですが、現在ではさらにその特許出願が、企業の経営戦略において、その発明で開発される新製品の営業価値的に、どう必要になるのかを判断できる能力も求められてきたように思います。 特に中小企業の皆さまにおいては、そのような判断を行う部署を持っていらっしゃらないところも多いので、特許事務所がそのような経営戦略から特許出願を考えるという観点からのアドバイスを行うことが、より求められているのではないかと思います。

中川特許商標事務所では、お客様のご依頼を受けるにあたって、その特許出願が、御社の経営戦略にどのような位置付けにあるのかをお伺いし、真に必要な知的財産略をお客様といっしょに検討したいと考えております。 そして現時点では特許出願をしない方がいいようなケースでは、当事務所の受任件数が減少するとしても、そのことをアドバイスとしてお伝えしたいと考えます。
   加えて、単に特許出願しない方がよいとアドバイスするだけでなく、ノウハウ保護のほうが好ましい、サンプルづくりを行ってから特許出願の検討したほうがよい、一度原価計算等をしてから特許出願の検討したほうがよい、など今後の方針を併せてご提示するといった、的確なアドバイスができる事務所でありたいと考えています。
   その結果、やはり特許権が必要であるということで、特許出願を受任させていただいた場合には、お客様のご期待に添えるような内容で、確実に特許になるように努めます。

ご依頼をいただいた企業の経営に資する知的財産戦略のお手伝いをしたいと考えておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

(2011年10〜12月掲載)